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設計製図Ⅱ「ヴァルター・ベンヤミン‐都市散策者の系譜・館」

学部3年の設計製図Ⅱ第一課題「ヴァルター・ベンヤミン‐都市散策者の系譜・館」の講評会が行われました。
学生有志による作品がhttp://museum2011.tumblr.com/にて紹介されてます。
課題の主旨は以下です。

・主旨
ヴァルター・ベンヤミン(1892-1940)はドイツ・ロマン主義の文芸評論家であった。しかし、それを越えて思想家・社会学者として幅の広い思索展開を通して、近代の転換期において重要な役割を果たした思索の人といえる。一つは彼の著作である「複製技術時代の芸術」や「写真小史」などからの近代における芸術の視点や価値をドラスティックに転換する契機を論理化して、方向性を導いたことであろう。もう一つは「パリ‐一九世紀の首都」、「ボードレール」、「パッサージュ論」などからの、パリを背景とする都市の時代・空間における新しい人間像を提出したことのように思う。パリに寄宿し、1927年頃から始め亡くなる年代まで、18世紀末から19世紀に多く作られたパッサージュの研究を続けた。それはパッサージュという対象の客観的な分析に重心があるというより、資本主義、商業主義勃興期のパッサージュ、万国博覧会、パノラマ・写真などを介在させながら、都市化・近代化の過程における体制に属さぬ都市散策者・遊民という存在論的存在の出現を提示させることの意味は大きい。ベンヤミンが詩人ボードレールに腐心した意味でもあろう。このような背景を通じて、さまざまな芸術の運動体が生み出されていったといえる。パッサージュは彼の思想を見えるようにする舞台装置でもあったのであろう。